上白糖、大盛りで

特に益はないです

20191217日記

 18時ごろ帰路に着くと雨だった。折りたたみ傘がリュックサックに入っているのを見つけたので、それを差して歩く。電柱の灯りや自転車のヘッドライトに照らされながら暗がりを黙々進んでいると、不意に、ぱたぱたと、傘を鳴らす雨音が絶えず耳に入ってきだして、その音が雨勢に比べて思いのほか柔らかかったから、本当は傘なんてなくてもそれで困ることはないんじゃないかな、とそんなことをぼんやり思った。

 雨の中傘を差さずに歩くと全身が雨浸しになるわけで、それはすごく不便なことだと思う。濡れた髪はギシギシするし、水気を吸ったコートは適切な処置をしないと傷んでしまうだろうし、濃く変色したズボンがぴたぴた脚に張り付くのは不快だし、滴りおちる水滴は刻一刻と体温を奪っていく。そういうことはとてもよく分かっていて、だからその時も、傘をしまって雨を浴びようとすることは全くしなかったのだけれど、やっぱり雨の中傘を差すという行為には何だか虚構めいたものが感じられた。

 虚構だから良いとか悪いとかそういうしみったれた話をする気は特になくて、無知の知とかいう今さらなトピックを自慢げに語ろうとしている訳でも別になくて、じゃあ何の話がしたかったのかというと、ともかく物事を見つめるのは大事だよねというそれだけの話。