上白糖、大盛りで

特に益はないです

2021-03-30

 就職活動の影響で思考が抽象に寄った感覚がある。業界研究やES作成には少なからず記号操作が必要となるし、志望動機を洗練させるには具体から抽象を導くのが手っ取り早い。就活開始から終了までの全段階でそれなりにストレスがかかったのも原因だろう。「何事も抽象的であればあるほど良い」「抽象は毒だ、とにかく具体をやれ」等の極端な流派はいざ知らず「抽象と具体とはバランスを保つことが重要である」ということは多くの人が了解している事柄であり、その知見に照らすと現在の私の状態はあまり望ましいものでないと自覚される。そういう経緯から、今日は意識して具体的な話をしようと思う。書くことと考えることとは密接に関わっているのだから具体を書けば思考も具体に寄るだろうという浅い目論見だ。

 キーボードを頻繁に叩く生活を送るうえで最も重要な――『最も』という言葉は過言だとしてもそれなりに大切な――ことは、手指のケアである。樹脂製(PBTでもABSでも何でも構わない)のキーキャップは指先から確実に皮脂を奪う。加えて打鍵という行為自体が表皮に傷をもたらす。一度の打鍵が指先に与えるダメージは非常に軽微なものだが、皮脂による緩衝なしで繰り返し繰り返し打鍵を行えば指先が荒れるのは必定だ。一度ひびが出た指はなかなか回復せず、回復しないうちに荒れた指を起点として掌までひびが広がる。ややもするとひびはあかぎれに深化し常に痛い。放っておけば多少治るが、完治には至らずまたあかぎれが出て常に痛い。このように手指のケアは非常に重要だ。私は手指のケアを怠っていたため、ここ半年以上上述の状態で過ごしていた。しかし、先日ふと思い立ってハンドクリームを買ったことから事情が変わる。買ったハンドクリームはラベンダーの香りが強いため使う度に部屋がラベンダーっぽくなる。まあラベンダーそのものはともかく(ラベンダーという植物は節操なく伸びるのだ)、ラベンダーの香りには特に好悪を感じないから問題という問題でもない。ハンドクリームを使い続けた効果か、最近はあかぎれやひびがなくなった! 使用をやめた途端手荒れが再発する予感はあるので、しばらく塗り続けるつもりだ。

 もう少し話を続けたいのでハンドクリームの成分表示を眺めてみる。大学受験以来化学を学んでこなかったため、大体が正体不明の文字列だ。商品説明を読むと『シアバター』という単語が目に留まった。よく分からないが少なくとも『ステアロイルラクチレートNa』よりは使い時がある言葉だろうと踏んでググると、肌・髪に良い効能が期待されることや西アフリカの重要産品であることが分かる。西アフリカについては詳しくないどころかほとんど知識を持たないのであまり話が広がらない。西アフリカについて国連広報やJICAのページを眺めていると就活マインドが活性化してきたので今日はここで止めておく。